品質管理・取得特許
抗筋肉疲労剤及び飲食品

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抗筋肉疲労剤及び飲食品

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2007-1920(P2007-1920A)
(43)【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
(54)【発明の名称】抗筋肉疲労剤及び飲食品
(51)【国際特許分類】
A61K 36/07 (2006.01)
A23L 1/30 (2006.01)
A61P 3/00 (2006.01)
A61P 21/00 (2006.01)
A23L 2/52 (2006.01)
【FI】
A61K 35/84    A
A23L 1/30    B
A23L 1/30    Z
A61P 3/00
A61P 21/00
A23L 2/00    F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2005-183200(P2005-183200)
(22)【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
(71)【出願人】
【識別番号】000118095
【氏名又は名称】伊藤 均
(71)【出願人】
【識別番号】591253249
【氏名又は名称】パワフル健康食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(74)【代理人】
【識別番号】100089048
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 康隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101317
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 ひろみ
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100134935
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 詩木
(74)【代理人】
【識別番号】100130683
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 政広
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 均
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩子
(72)【発明者】
【氏名】中田 福佳
【テーマコード(参考)】
4B017
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B017LC03
4B017LG19
4B017LL09
4B017LP01
4B018LB08
4B018MD82
4B018ME14
4B018MF01
4C088AA02
4C088AC17
4C088CA03
4C088CA14
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA94
4C088ZC21
________________________________________
(57)【要約】
【課題】 長期間に渡って継続して経口的に服用・摂取することが可能で、筋肉疲労を効果的に改善し得る抗筋肉疲労剤及び飲食品の提供。
【解決手段】 サンゴハリタケ属のきのこ子実体、その菌株の培養物又はそれらの処理物から抽出される複合成分を有効成分とすることを特徴とする抗筋肉疲労剤。
【選択図】 なし
________________________________________
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンゴハリタケ属のきのこ子実体、その菌株の培養物又はそれらの処理物から抽出される複合成分を有効成分とすることを特徴とする抗筋肉疲労剤。
【請求項2】
サンゴハリタケ属のきのこがヤマブシタケである請求項1記載の抗筋肉疲労剤。
【請求項3】
請求項1記載の複合成分を、更にクロマト分画処理及び/又は膜分離処理して得られる糖蛋白複合体を有効成分とすることを特徴とする抗筋肉疲労剤。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の抗筋肉疲労剤を含有することを特徴とする飲食品。
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【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンゴハリタケ属のきのこに含まれる複合成分を有効成分とする抗筋肉疲労剤及び飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、疲労回復促進(一般には補精、強壮)作用を有するものとして、牛の胆嚢や胆管中の結石である午黄(ゴオウ);シナヒキガエルの耳腺その他の皮腺分泌物である蟾酥(センソ);雄のジャコウジカのジャコウ嚢の分泌物である麝香(ジャコウ);女王蜂より得られる王乳(ローヤルゼリー)濃縮物等の動物性生薬、オタネニンジンの根から得られる人参を原料とするもの;催淫薬ヨヒンビンを含有する南部アフリカ産のヨヒンベ皮より得られる淫羊霍(インヨウカク);南米ブラジル産のガラナ等の植物性生薬が知られている。
【0003】
しかしながら、各種の天然素材を用いた機能性製品の中で、筋肉疲労の改善等を直接の目的としたものは少ないのが実状であった。そこで、天然素材を用い、長期間に渡って継続して経口的に服用・摂取することが可能な経口剤又は食品の開発が望まれていた。
【0004】
一方、ヤマブシタケ(学名「Hericium erinaceum」)は、サンゴハリタケ属に属する担子菌類で、日本ではジョウゴタケ、ウサギタケ、ハリセンボン等と称されている。ヤマブシタケの子実体には、抗腫瘍活性成分が含まれることが報告されている(例えば特許文献1~2、非特許文献1参照)。また、子実体に含まれるフェノール関連化合物が神経成長因子(NGF)合成誘導促進活性を有し、アルツハイマー型痴呆症改善効果を示すことが報告されている(例えば非特許文献2、3参照)。
しかし、ヤマブシタケから分離される複合成分に抗筋肉疲労作用があることは知られていない。
【特許文献1】特願平5-117303号公報
【特許文献2】特願平5-117304号公報
【非特許文献1】Takashi MIZUNO, Tetsuya WASA, Hitoshi ITO,* Chiharu SUZUKI,** and Nobuo UKAI***, Antitumor-active Polysaccharides Isolated from the Fruiting Body of Hericium erinaceum, an Edible and Medicinal Mushroom Called yamabushitake or houtou*, Biosci. Biotech. Biochem., 1992, 56(2), 347-348.
【非特許文献2】Kawagishi, H.; Ando, M.; Shinba, K.; Sakamoto, H.; Yoshida, S.; Ishiguro, Y.; Furukawa, S. Phytochemistry 1993, 32, 175-178.
【非特許文献3】Kawagishi, H.; Shimada, A.; Shiral, R.; Okamoto, K.; Ojima, F.; Sakamoto, H.; Ishiguro, Y. Furukawa, S. Tetrahedron Lett. 1994, 35, 239-241.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、斯かる実状に鑑みてなされたもので、長期間に渡って継続して経口的に服用・摂取することが可能で、筋肉疲労を効果的に改善し得る抗筋肉疲労剤及び飲食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく、天然物中に抗筋肉疲労作用を有する物質を鋭意探索したところ、サンゴハリタケ属のきのこの子実体、その菌株の培養物又はそれらの処理物から抽出される複合成分が優れた抗筋肉疲労活性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、サンゴハリタケ属のきのこ子実体、その菌株の培養物又はそれらの処理物から抽出される複合成分を有効成分とすることを特徴とする抗筋肉疲労剤により上記課題を解決したものである。
【0008】
また、本発明は、上記抗筋肉疲労剤を含有する飲食品により上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の抗筋肉疲労剤は、優れた抗筋肉疲労作用を有すると共に、安全性に優れるため、筋肉痛の改善・治療薬として極めて有用であり、また食品中に配合して継続的な摂取もできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いるサンゴハリタケ属に属するきのことしては、サンゴハリタケ(学名「Hericium ramosum (merat) Letellier」)、ヤマブシタケ(学名「Hericium erinaceum」)等が挙げられ、特にヤマブシタケが好ましい。ヤマブシタケの菌株は独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM ABP-10352として寄託されており、通常の方法により栽培することができる。さらに上記菌株の人工的あるいは自然的変異株も用いることができる。
【0011】
本発明の複合成分は、サンゴハリタケ属に属するきのこの子実体(生もしくは乾燥)、その菌株を培養した培養物(培養菌糸体及び培養濾液)、あるいはこれらの細胞壁破砕物、磨砕物、乾燥物、乾燥粉砕物等の処理物を抽出処理して得ることができる。
【0012】
菌株の培養は、担子菌の培養に通常用いられる固体培養法(菌床栽培、ビン栽培)又は、液体培養法のいずれでもよいが、液体培養法が好ましい。
培養の培地としては、特に制限はなく、菌の発育に必要な諸栄養が含まれていればよい。すなわち、グルコース、シュークロース、マルトース、でんぷん等の炭素源;硫安、硝安、硝酸ソーダ、尿素等の窒素源;ジャガイモエキス、ニンジンエキス、麦芽エキス、ペプトン、V-8ジュース、麹エキス、酵母エキス、酵母粉、タマネギエキス、コーンスティープリカー等の天然の複合栄養源;リン酸、塩酸、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄等の無機塩類等が利用できる。この他に生長に必要な微量元素、ビタミンなどは適宜添加してもよい。
培養は通常好気条件下がよく、例えば振とう培養法あるいは通気撹拌培養法が用いられる。培養温度は20~37℃、特に30℃前後で培養するのが好ましい。培養pHは3.0~9.0、好ましくは4.5~7.0が生育に好適である。培養日数は培養条件によって異なるが菌糸体の生育があればよく、通常は2~30日間で、最大の菌糸体の生産される日数がよい。通気撹拌培養では、通気量0.1~10容量%、撹拌速度30~800r.p.m.の範囲で行なうのが好ましい。
培養終了後、培養液を遠心分離あるいは濾過することにより培養菌糸体が培養濾液から分離採取される。
【0013】
本発明において、上記きのこの子実体、培養物あるいはこれらの処理物の抽出処理は、水系溶媒又は含水有機溶媒を用いて行うことができる。ここに水系溶媒としては、60℃以上の熱水、好ましくは80℃以上の熱水が挙げられる。また、含水有機溶媒としては、炭素数1~5の低級アルコール、アセトン、ジエチルエーテル等の有機溶媒の含水物が挙げられ、20~99重量%程度の低級アルコールが好ましく、特に60~80重量%の含水エタノール溶液が好ましい。
【0014】
抽出方法としては、一般的な方法を使用することができ、例えば、溶媒に上記きのこの子実体等を浸漬する方法や、更に加温下(常温~溶媒の沸点の範囲)攪拌する方法等を挙げることができる。得られた抽出物は、必要に応じて濾過又は遠心分離によって固形物を除いた後、そのまま又は当該抽出物を濃縮若しくは乾燥して用いられるが、特に当該抽出物を減圧乾燥や真空凍結乾燥等の手段によって乾燥して使用するのが好ましい。
【0015】
得られた複合成分は、更に、クロマト分画処理及び/又は膜分離処理により精製して用いることができる。精製により分画して得られる糖蛋白複合体を使用すると、より優れた抗筋肉疲労作用が得られ特に好ましい。クロマト分画処理としては、カラムクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーが挙げられ、膜分離処理としては、透析や限外濾過が挙げられる。
【0016】
抗筋肉疲労剤とするには、適宜、薬学的に許容される担体、例えば賦形剤、滑沢剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、嬌味嬌臭剤等を使用して錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等の経口的に投与する製剤とするのが好ましい。
本発明の複合成分の有効投与量は、抽出物として1,000mg~3,000mg/日(成人)とするのが好ましい。
【0017】
本発明の複合成分は、食品中に配合してもよく、特に健康増進を図る健康食品とするのが好ましい。
食品の形態も特に制限されず、ドリンク剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ペースト剤等の形態が挙げられる。また、かまぼこ、ちくわ等の練り製品;パン等の発酵食品;粉乳、発酵乳等の乳製品;バター等の油脂製品;水、果汁、牛乳、清涼飲料等の飲料;菓子等の食品に添加して使用することもできる。
このような食品には、保存料、着色料、甘味料、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、調味料、防腐剤等の食品添加物、天然物等を用いることができる。
【実施例】
【0018】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1
ヤマブシタケ乾燥子実体の細胞壁破砕粉末2,000gに抽出溶媒として85%濃度のエタノール8Lを加え、室温で撹拌しながら1日放置して溶媒抽出を行なった。エタノール可溶画分を吸引濾過して低分子成分を除去した後、残渣を70℃以下で通風しながら乾燥した。次いで、この乾燥したエタノール抽出残渣500gを、100℃の熱水3Lで3時間撹拌しつつ煮沸し、熱水抽出を行なった。
熱水抽出液を冷却し、1%シュウ酸アンモニウム(100℃)及び5%水酸化ナトリウム水溶液(30℃)で順次抽出し、遠心分離したその上澄液に5倍量の99%濃度のエタノールを加え、多糖類を沈殿させ、更に遠心分離して得た沈殿を流水中で透析後、凍結乾燥粉末として粗多糖類(1)を得た。収量は23gであった。
【0020】
次いで、この粗多糖類(1)の粉末15gを陰イオン交換クロマト法(DEAEセルロース(Cl-)カラム(3×70cm))に供し、水によって溶出し、非吸着画分である多糖類(2)を得た。収量は5gであった。
上記で得られた多糖類(1)及び(2)の理化学的性質を表1に示し、スペクトルデータを表2に示す。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
上記表2に示したように、赤外線吸収スペクトル(IR)KBr法により、多糖類(1)及び(2)はいずれも890cm-1付近にβ-グルコシド結合を示す吸収が認められ、β-D-グルカンであることが確認された。
また、多糖類(2)20mgを0.3M NaOD・D2Oに溶解して、JEOL製GSX-400スペクトルメーターによって測定した核磁気共鳴スペクトル(1H-NMRスペクトル分析、13C-NMRスペクトル分析)分析の結果、多糖類(2)はキシロース、グルコース、マンノース等を随伴するβ-(1→6):β-(1→3)-D-グルカン蛋白複合体であることが確認された。
【0024】
実施例2
ヤマブシタケ菌糸体を、蔗糖(グルコース)30g、ポリペプトン2.0g、酵母エキス5g、硝酸ソーダ7g、酸性リン酸-ソーダ7g、塩化カリウム0.3g、硫酸マグネシウム0.3gを水1Lに溶解し、pHを5.0~7.0にした培地に植菌した。前記組成の液体培地200mLずつを1L容の三角フラスコに分注し、23~25℃、3~5日間通風培養あるいはロータリーシェカーを用いて200r.p.m.にて振盪培養し、菌糸体とともにやや粘稠性のある培養濾液を得た。
遠心分離した得た菌糸体に7倍量の水を加え、95~100℃にて3時間熱水抽出を行なった。熱水抽出液を冷却し、5倍量の99%濃度のエタノールを加え、多糖類を沈殿させ、遠心分離によって得た沈殿を流水中で透析後、凍結乾燥粉末して粗多糖類(3)を得た。収量は菌糸体1g当り80mgであった。
次いで、上記の菌糸体を培養して得られた培養濾液を1/5容まで減圧濃縮し、これに等量の99%濃度のエタノールを加え、4℃にて一夜放置し生じた沈殿を遠心分離後、真空凍結乾燥して、粗多糖類(4)の粉末を得た。収量は培養濾液1L当り800mgであった。
【0025】
次いで、菌糸体由来の粗多糖類(3)及び培養濾液由来の粗多糖類(4)の粉末、各10gずつを陰イオン交換クロマト法(DEAEセルロース(Cl-)カラム(3×70cm))に供し、水によって溶出し、吸着画分を、0→2M食塩溶液による濃度勾配溶出によって、多糖類(5)及び(6)を得た。収量は多糖類(5)は4g、多糖類(6)は4.3gであった。
上記で得られた多糖類(5)及び(6)の理化学的性質を表3に示し、スペクトルデータを表4に示す。
【0026】
【表3】

【0027】
【表4】

【0028】
上記表4に示した赤外線吸収スペクトル(IR)KBr法により、多糖類(5)及び(6)はいずれも890cm-1付近にβ-グルコシド結合を示す吸収が認められ、β-D-グルカンであることが確認された。
また、多糖類(5)及び(6)それぞれ各20mgを0.3M NaOD・D2Oに溶解して、JEOL製GSX-400スペクトルメーターによって測定した核磁気共鳴スペクトル(1H-NMRスペクトル分析、13C-NMRスペクトル分析)分析の結果、多糖類(5)はグルコキシラン-蛋白複合体でβ-(1→6):β-(1→3)-D-グルカン構造をもつことが確認された。
多糖類(6)もβ-(1→6):β-(1→3)-D-グルカン構造をもつガラクトキシログルカン-蛋白複合体であることが確認された。
【0029】
試験例1 腓腹筋を用いた抗筋肉疲労作用の検討
ウレタン麻酔(1.0g/10mL/kg、腹腔内注射)を施した雄ラット(日本クレア製Jcl:SD系250~300g)の十二指腸内にカニューレを挿入後、腹位に固定した。腓腹筋を剥離し、腱の切断末端に糸をつけ、日本光電製 FD-ピックアップを介して、筋の張力を記録した。電気刺激は、エム・イー・コマーシャル製(ME2100)刺激装置から注射針電極を介して、腓腹筋に直接行なった。記録開始後10分間は0.1Hzで安定させ、安定後4Hzで15分間刺激した。腓腹筋を0.1Hzで刺激した時は、筋収縮力は数時間安定し変化しないが、4Hzで刺激すると収縮力は一過性に増加した後に減少した。次いで、上記実施例1で得た多糖類(1)、(2)及び実施例2で得た多糖類(5)、(6)をそれぞれ300mg/kgずつ十二指腸内に注入し、30分間刺激を休止した後、4Hzで2分間刺激し筋収縮力を記録した。以後1時間毎に、3時間まで筋の収縮力の回復を、最初に4Hzで刺激した時の最大収縮力を100として測定した。
【0030】
結果を表5に示す。表5から明らかなように、多糖類(1)、(2)、(5)、(6)の投与により、時間の経過とともに統計学的に有意の筋収縮力(数値が100に近似するほど筋肉疲労回復効果が強い)の回復促進が認められ、各多糖類は抗筋肉疲労作用を有することが確認された。
【0031】
【表5】

【0032】
試験例2 摘出心臓を用いた抗筋肉疲労作用の検討
摘出心臓標本を用いた試験では、大動脈と後大動脈にカニューレを入れ、心臓内に栄養液であるリンゲル液(塩化ナトリウム6g、塩化カリウム0.07g、塩化カルシウム0.1g、炭酸水素ナトリウム0.1gを1Lの水に溶解した液)を灌流させる。なお、静脈洞(ペースメーカ)が残っているので自動能は残っている。また、この標本には交感神経節後線維(心臓機能に促進的に働く)の終末部と副交感神経節及び節後線維(心臓機能に抑制的に働く)が含まれているので、これらに働く薬剤と心筋に直接働く薬剤の検定ができる。
【0033】
本発明の試験の概略を図1に示す。まず、ガマの脳脊髄を破壊し、背位に固定した。次いで、図1に記載の1-7の操作を順次実施し、大動脈から後大静脈にリンゲル液がスムーズに潅流することを確認した。なお、本試験では、上記リンゲル液のカルシウム量を3分の1に減らし、心筋を疲労させ心臓の収縮力を減弱させた。次いで、上記実施例1で得た多糖類(1)、(2)及び実施例2で得た多糖類(5)、(6)の0.5%溶液1mLをそれぞれ心筋内に注入し、心臓内の灌流液を順次交換することによって心臓に対する作用を観察した。試験では、心尖部をセルフィンではさみ、適当な方法、例えばヘーベル(記録するレバー)でキモグラフィー上に心臓の動きを描記した。また、試験中はリンゲル液に通気して酸素供給を計った。
【0034】
結果を図2及び図3に示す。図2及び図3から明らかなように、多糖類(1)、(2)、(5)、(6)の投与により、顕著な心筋収縮力の促進が認められた。また、多糖類(2)、(5)及び(6)は、多糖類(1)に比べ、心筋収縮力の発現時間が速やかであり、且つ心筋収縮力の促進作用もより優れていることが確認された。
【0035】
試験例3 ラットに対する生化学的・薬理学的一般試験
4週齢のSD系(雌/雄)ラット30匹を以下の3群(各群雌5例、雄5例)、すなわち対照(非投与)群、上記実施例1で得た多糖類(1)投与(3,000mg/kg)群及び多糖類(1)投与(1,000mg/kg)群に群分けし、1日1回30日間経口投与し、尿及び血液の各成分値に対する影響を試験した。その結果、全て正常範囲にあり、対照群との差は認められなかった。
【0036】
上記実施例で得られた多糖類(1)、(2)、(5)、(6)はいずれも一定の分解点、融点を示さず、強熱により炭化するが、著しく安定である。また、120℃×20分間の滅菌処理を行なって、試験例1及び2と同様に抗筋肉疲労作用を確認したところ、活性の低下は見られなかった。
【0037】
[飲食品の製造]
製造例1
実施例1と同様にして得た子実体の熱水抽出液1kg、砂糖1kg、ハチミツ15g、カラメル5g、アスコルビン酸0.75g、クエン酸0.3g及びレモン系香料0.2gを調合し、健康飲料を製造した。
【0038】
製造例2
実施例1と同様にしてエタノール抽出残渣を得、次いで該エタノール抽出残渣を凍結乾燥させ、凍結乾燥物を得た。この凍結乾燥物10g、アスコルビン酸0.5g及びリンゴ搾汁液2kgを調合してリンゴジュースを製造した。
【0039】
製造例3
採肉後、水さらしして脱水した魚肉類2kgを予冷し、実施例1で得た多糖類(2)5g、若干量の塩化カルシウム及び第三リン酸ナトリウムを添加した。次いで、魚肉類をすりつぶし、成形後凍結して冷凍すり味を得た。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、摘出心臓標本による試験概略を示す図である。
【図2】図2は、ヤマブシタケ子実体より得られる本発明の多糖類(1)及び多糖類(2)の抗筋肉(心筋)疲労作用に対する効果を示す図である。図中、縦軸は心筋収縮力、横軸は時間(1cm=120秒)を表す。
【図3】図3は、ヤマブシタケ培養物(培養菌糸体、培養濾液)より得られる本発明の多糖類(5)及び多糖類(6)の抗筋肉(心筋)疲労作用に対する効果を示す図である。図
中、縦軸は心筋収縮力、横軸は時間(1cm=120秒)を表す。
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